9月入学案(社会人から見る今の日本教育)
ゴールデンウィークが明け、各地域の学校より休校延長の声が相次いでいる中、進展を
見せることのない「9月入学案」。政府や学会などで議論が繰り広げられている一方
で、コロナウイルスによる教育現場の混乱と今後の明確な方針が出されない現状に当事
者である先生や学生達は不安を抱えているでしょう。果たしてこの「9月入学案」は今
の教育界の抱える問題の打開策となるのだろうか?
◆学力格差の解消に向けて
「9月入学案」導入の大きな利点として挙げられているが学力格差の解消である。現状
休校により自宅待機している生徒でもオンラインで授業を受けている生徒と受けていな
い生徒では学力格差がついてしまっている。もちろん授業を受けていない生徒も学校側
から宿題は出されているが、先生から教えてもらうのと自分でやるのとでは大きな違い
である。そして2ヵ月という休校期間によって生じた授業の遅れを取り戻すことは先生
達の負担を考えると難しい、しかし9月入学案を導入すれば休校期間で発生した格差や
遅れを少なからず取り戻すことができるだろう。
◆課題と不安
進級や進学、就職時期のズレ、イベントや会計年度の見直し等、9月入学案で浮かび上
がる課題は多い。そして現状コロナウイルスがもたらしている経済的不況により混乱す
る社会の中でこれらの課題をクリアすることは可能なのだろうか。この案が実施された
ことにより生じる現役の先生や生徒、その保護者達に降りかかる負担も考慮し慎重に議
論を進めていく必要があるだろう。
◆学習環境の整備を早急に
もっとも懸念されるのは9月までにコロナウイルスが沈静化せずに拡大していく事態だ
ろう。これから終息に向かうのか、はたまた第2波、第3波と感染が広がりをみせるの
かは現時点では誰にも予測できない。こういった事態に備え、通常の授業はオンライン
で行うことを目標とし、すべての学生にオンラインで学習ができる環境を提供する取り
組みを早急に行われなくてはならない。
◆切り替えるなら今年しかない
現状コロナウイルスで社会、経済共に大変時期ではあるが、ある意味グローバルスタン
ダードに切り替えられる日本教育の大きな転換期とも言えるだろう。欧米諸国の学校で
は9月での入学が主流となっている。この半年間という入学時期のギャップが他国への
留学や就職を困難なものしていた。しかしグローバルスタンダードにすることによっ
て、海外の優秀な人材を受け入れやすくなるほか、日本の学生も他国の学校に入学しや
すくなり、将来に対する視野を広げることができる。この今の大変な時期こそが日本教
育に浮上している問題を解決するチャンスなのかもしれない。
◆まとめ
これからの日本の教育方針が良くも悪くも社会経済に大きな影響を与える為、まずは生
徒達の心のケアと教育体制を整えながら慎重に議論を進めていかなければならない。学
校や地域だけではなく社会全体で、今後の日本教育に重点的にフォーカスを置いて考え
いく必要があると思います。